2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

大晦日

窓の結露がきらきらと滑り落ちてゆくのに誘われてピリカがぶんちょダンスを始めたこちらの時計とあちらの時計の秒針が完璧にシンクロしているからぼくもピリカのステップにカウントを合わせて跳ねているピリカの初々しい跳躍とぼくの誇らしげな跳躍とで一緒…

ピカソの『泣く女』

鼻の奥がつんとしたわさびならば頭蓋骨の内側に衝撃がくる感じ朝の冷えた空気ならば鼻腔の上側が収縮する感じそうじゃなくそこじゃなく鼻の奥の奥の言いかけた言葉をのみこんでぐっと力をいれるあたり叫び出したい衝動を押し戻す粘膜の向こう側あたりそこが…

飛べないピリカ

ぼくはクリッピングというものが憎いなぁと思うぶんぶん自由にお部屋の偵察をしてる時ピリカが懸命に背伸びして羨望のまなざしをむけてくるぼくの真似して飛ぼうとして力強くテーブルを蹴り必死で羽ばたくけれど真下に落下するだけだうちわの柄の部分だけで…

今年も残りわずかとなりました

今年の仕事も終わりました良いお年を良いお年をとみんなにご挨拶したらいよいよ年末な気持ちになりました密を避けた1年はぶんちょと蜜な日々でした冗談のようなガーゼマスクなんだか大事にとってありますゆくとしくるとしゆくいのちくるいのち出会っても別れ…

ぼくらの一日の始め方

星が明けの空に消えてゆく気配はおやすみカバーの中でも察知できるからぼくはまだ薄暗いうちから胸の奥がむずむずして黙っていられない小さく「ぴ」と呟くとその「ぴ」に誘われて「ぽ」が出ちゃう勝手に出てきた「ぽ」が可笑しくて「ぷぷっ」て吹き出すとそ…

朝の風景

さかんにほじくりかえしくちばしに雪をのせたカラスがぴょこぴょこついてきた君はええと待ち伏せしてはわざわざ咥えた小枝を頭上から落としてきたコかな親鳥に餌をねだるように口開けてごわあごわあと鳴きながらへんてこスキップでついてきたあいつかなそれ…

おかたづけ

賑やかなオードブルセットは黒豆や栗きんとんに変わってたもうお正月の準備だねお正月だってどうせすぐに去ってしまってあとはひたすら遠い遠い春まで雪に埋もれて過ごすんだツリーやリースを片付けましょうきらきらきれいなオーナメントも気持ち悪い顔のサ…

贈り物

クリスマスのjazzってばお気楽だねもう少しピアノは走ってもいいんだけど小さな作曲家(ピリカ)が機嫌良く歌っているからこのままでいいよ呑気なベースよりさらに呑気にサンタは大幅に遅延大人になってからやってきた大人に相応しい贈り物をこどもの心で受…

悲しみは遠くから眺めると愉快な時がある

リップクリーム塗ったくちびるにセーターの繊維かなんかはりつくあのうっとおしさと苛立ち容易に取り除けないしつこさで悲しさなんてものがねとねととわざわざ敏感な場所をねらってついてまわるねとねととそんな時には悲しみを悲しむ誠実さも悲しみが悲しい…

うちゅうのはしっこをめくりあげてくるくる まいてまいて筒を作った片目にあてて覗きこんだら最果てのその先でかみさまがさぼっているのが見えた今時期は幸福の分配もサンタに丸投げなんだろう靴底で磨かれた雪道はてらてらと照らし出されてどこにも行けない…

定期検診

おええええあのそのう検査が1番いやだよぼく滅多にきゃるきゃるしないけど検査器具しっかり噛み付いてしばらく離さなかったんだ先生が優しく「ぴっちゃんはなしてねー」って言うから仕方ないはなしたけれどもあとはぼくのおしりのあたりお胸のあたり羽をかき…

片栗粉をつぶす音は雪道を歩く音と同じです

帰り道は氷点下靴の底が雪面を噛む音ぎゅむぎゅむとあのくろくもの向こうには巨大なぶんちょが隠れていて爪の先だけ見えてるのが三日月地面を修復するように降る雪目をゆっくりとじてまたあける同じ道同じ雪景色5秒前にいた場所は去年の冬なのではないかしら…

きもちのもんだい

いやなこといやだと口にだすのは難しいなぜどうして理由なんてわからない責める相手がいなければ己を責めるのが手っ取り早いすきなことすきだと口をつぐんでいてもばれてしまうとてもわかりやすい星の要素が発光してるきらきらおめめのその奥でこころがさけ…

成長してゆくピリカ

おやすみカバーの中からピリカがつぶやいてるぷきゅるきゅるるるるるる昼間あんなにブランコで揺れて元気よく飛び降りたあとブランコにお尻アタックされて止まり木から落ちてとてもぼくらを心配させたちびすけめやることなすこと無邪気で好奇心でいっぱいで…

洗濯しながら踊りましょう

洗濯機の中でシャツやタオルがワルツを踊るこらえきれずにタイツはネットから飛び出てぐるぐる足を絡ませてタンゴになりましたポットの中では茶葉も踊る炊飯器の中ではお米も踊るぼくらも踊らされずに 踊りますピリカも小さく跳ねている舞う舞う雪が舞う「き…

笑う炎

炎はなぜ無風の室内なのに揺れてしまうのかもだえるようにゆらめいて周囲をほのかに温めつつゆらゆらと頭を振って身をくねらせて何を否定しているのか 拒絶しているのかわたくしはなぜまっすぐ 天に昇れないのでしょうぐしゃりと崩れて消える今際にもっとも…

主はきませり

ぼくずっとやかんの歌だと思ってたしゅわしゅわ蒸気を噴いて『沸きませり』だとばかり石油ストーブの上に置いたやかんからたちのぼる湯気ちょいとやかんをどかして干し芋、鱈、おもちあぶるのは食べ物ばかりじゃない尻滑りを楽しんでべちょべちょのぱんつ冷…

ぼくは3度目、ピリカははじめての冬だね

ものすごく幸せな時に外が寒いとさらに幸せが引き立つそんな喜びを共有した夜にぼくらの呼気はゆらり酔いをはらんでたちのぼる難解な日々はほどよくときほぐされて無意味なことばの氾濫はほどなくやむだろう風が刃を含んで耳や頬に切りつけるときからだは先…

ピリカの歌

この音はなんだろう懐かしくこそばゆくたよりなげででも愉快星で作ったちいちゃな鈴が五線譜のはしごを転がりおちてくるような小さなコロポックルたちが可笑しくてもうこれ以上歌えません笑いすぎて手に力入りませんよと蕗の葉を震わせてこぼれた銀の雫がは…

お星

お星をふたぁつ もらったので入り口にひとつ出口にひとつぼくは今飾りつけをしている道にまよった流れ星にもよく見えるように夜の入り口にひとつ夜の出口にひとつ瞳にきらきらお星を宿したらまぶたをぱしぱししてぶんちょ信号を送りますぼ・く・は・ぶ・ん・…

クリッピング

手足じたばたさせてバンジージャンプしてるみたいピリカの初飛行はテーブルからのおふとんへの落下だったぼくが飛ぶとぶぶぶぶぶんっとカッコいい音がするけどクリッピングされたピリカはぱるるるるっと空振りしてるよな音だぼくが根本から先までついーっと…

ぼくの頭の秘密

「あああ!ダライラマやぁ!」とおばちゃん達が突進していったのでどんな人かもわからないままに一緒に走って行ったら見事に転んだおばちゃん達はSPのバリケードに阻まれて近寄ることができなかったのに転んだ勢いでスライディングして彼の目の前に滑り出た…

再診の結果

初めてモニターでコクシジウムを見たとき宇宙空間に浮かぶ泡のつまったシャボン玉に見えた呑気に浮遊する楕円のシャボン玉は今日の再診では検出されなかったお野菜と水浴びが解禁大好きな小松菜むしり大会にまたエントリーできるよぼくは再来週健診なのでそ…

北国ぶんちょの称号

足下の硬い響きで地表がずいぶん冷え切ってるのがわかる足音にも温度があるんだよ不意うちのように雪が舞う雨ならばぽつぽつざあざあなかなかに騒々しいのに雪は沈黙をつらぬきながらぼくらの街を侵略してゆくピリカみてごらん白いでしょ、雪君のカフェオレ…

いたみ

ああこぼれていってしまう涙ならばかたく目を閉じていれば阻止できるものを頬や胸元が赤く染まってゆくのはからだをまわるかなしみがこの脈動の中命の足音寄り添うように温かくあるいは侵食するように容赦なく血肉に及んでゆくからだまるでそうだ星の破片が…

白樺の夜道

暗い夜道でも白樺の通りはほの白く幹が浮き出て枝を払われた節々が黒い蹄のようだから通りの脇に頭を突っ込んだシマウマが足だけにょきり生えてきたみたい不気味に愉快です地球の裏側では逆に頭だけ出したシマウマがちょっぴり歯を剥いてひんひん笑っている…

勝手に帰る足 落とした耳

足は実直だ歩きなさいと命令されたわけでもないのに黙って体をうちまで連れ帰ってくれる心はぱらぱら途中の道端に落っことしておきざりのまま構わず足は曲がるべき場所で曲がり登るべき坂を登る寒風は耳を切るようですでも本当に耳がもげても気づかないくら…

冬はどうしたって早歩きになるもの

予告なく突然にイルミネーションが消える綺麗綺麗と見られ続けていた木々は賑わしい瞬きから解放されて夜の闇にほっとため息をついたあれやこれ去ってゆきます奥深く埋み火をかきおこされた心を夜に残して純度の高い愛情が今年の贈り物ですこの圧倒的な夜に…

ボレー粉の子守唄

ボレー粉を右手からぱらぱらこぼし左手で受け止めるそれをまたこぼして今度は右手で受け止めるあの美しい短歌のように海を感じてみたくてぱらぱらと受け止め続けて砂時計になったきもちあのくびれた部分に大きなかけらがつまったら美しいものを美しいままと…

ぼくピリカに子守唄を歌う

ピリカわかるかい雪だよ雪お空で大きなぶんちょがふけを落としてるみたいだねピリカ見えるかい星だよ星お空のまっくろおやすみカバーにぶんちょ達がぷすぷす穴をあけたみたいだねピリカ聴いてみて自分の内側を聴いてみてそうそれは君を生かしている鼓動です…