2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧
もったいつけてじわじわ沈んでいく西陽が不意に山の向こうに落ちて山の向こうで、大殺戮でもあったのか空が地獄のように染まったんだ地獄の空をたのしんでいると東側はもうきっぱりと夜が追いついていていちばん星がまぬけなぼくらをわらってるいちばん星み…
心臓は握りこぶし大だというちょうどぶんちょくらいかねかいぬしは鼓動を何分割にもしてそれを何百個も何千個もぼくに分け与えられたらいいのにと考えてるさすがにその方法はどう検索してもたどりつけない8月も残りわずかこんな8月は二度と訪れないこんな…
お月様おつきさま今夜はぼくと、話さないかいたまご色だねきみはぼくはぶんちょだよよろしくいつもは寝ているこの時間に起きているのはかいぬしがぽたぽた泣き止まないから気になって仕方ないんだおつきさまおつきさまおしえてくれるかいぼくのおともだちは…
以前載せたものですがもう一度載せますこの拙い詩をぴーたんとその飼い主さんに捧げます大切なものを失う時心はこなごなに砕けてもう何も自分を慰めるものはないと打ちのめされて空は空で大きすぎてひとりすぎて立ち竦むけど大切なものは心を去らず残り続け…
歳を取るとものさがしばかりするよになるとおばあちゃんが言ってた鍵をさがして眼鏡をさがして診察券をさがしてかばんの内ポケットから、でてくるのはのど飴ばかりかいぬしも探してるかばんの中ではなく心の中をさがしてる何をさがしているのかわからないま…
空と海とはその広がりをきそうようにいまそまってゆくところ大きさにおいては海は空にはかなわなかったけれども空は海にうつしだすことでしか自身の色合いの美しさを知る方法がなかったので互いを讃えあいながらもその金色の雲をふちどる夕暮れのことばは夜…
ちょうど島の西側がおじいちゃんのいえまどを大きく開け放って海に沈む夕陽を窓から迎え入れていたあの時間夏はいつもそうしたものだった台所のまないたも夕餉の準備が並べられていくお膳も部屋のそこらじゅうぶらさがってるはえとりリボンもお醤油の一斗缶…
こどものころの夏休みの宿題に『お年寄りから戦争の話をききましょう』ってのがあったかいぬしのおじいちゃんは「こどもに聞かせられる話なんてあるか!」とプリントを捨てちゃったそのかわり浜にでて青い絵具と白い絵具を良く水にとくこともなくゴッホの油…
はじめてのスイカだよぶんちょがみんな目を輝かせてスイカを食べているのを見てかいぬし一生懸命探してきてくれたんだでもぼくそんなに好きじゃなかったぁでも少しお皿のわきにたまった汁をちゅうちゅう吸ってみたよもっと美味しい顔するとこ楽しみにしてた…
セミはいつも遠慮してたんだよどうしよっかないちばんはやだなめだっちゃうもんな隣のやつが鳴いたら鳴こうかなそんな逡巡ののち背中のあたりがとうとうむずむず耐えられない一匹がみみみみみみ鳴き始めるつられて急に周りも「我も我も」と鳴き始めるみみみ…
泣いている女の子を見たんだって女の子といってももう成人した女性だったそうだけど個性きつめの雑貨屋の店主が何事が喚いていたものだから万引きでもあったのだろうかと小鳥の絵皿なぞ眺めながらやりとりを聞いていたんだ断片しかきいてないけどね店主の説…
無くしてみると無くてもよかったことに気づくために捌ききれない思い出や後悔を詰め込んだリュックにぼくくちばしアタック炸裂つついてつついて穴をあけてあげるよほらどんどんこぼれ落ちて軽くなってゆくかいぬし粟穂をつめてみてちゅんちゅん雀が追ってく…
だいじょうぶ?ってきかないでよぼくら小鳥はだいじょぶなふりが得意元気?ってきかないでよ元気な歌しかレパートリーないんだから悲しい時はあるの?ともきかなくていいよ実際のところ悲しんでる暇はないんだよ嬉しいのねって納得しといてねぼくの瞳はいつ…
そのカモメは明らかに風を楽しんでいたもう夕暮れ時他のカモメは寝床に帰って明日のフライトに備えて翼の手入れなどしているのに彼女だけは風といつまでも戯れていた水平線と名付けてぼくらが想いを馳せる場所は実際には存在してないどこまでもどこまでも空…
ぼくらの頭蓋骨をつきやぶってにょきにょきと何かが、はえてきた頭の中で発芽したそうかあの時蒔かれた種かにょきにょきとはえてきたそれはにょろにょろと這っていった丘にのぼっていった蛇だ遠くの海を眺めようと出かけていった蛇だしっぽは頭に声かける帰…
ぼくがまだもやもやしていたころ命とさえも呼べないただの「現象」でしかなかったころもやもやもにゃもにゃ漂っていたら不意に大きな手につかみとられて「おまえはなにものかね」ってきかれたのだからぼく「ぼくはぼくですけど」ってこたえたのもにゃもにゃ…
こんな時間に一斉に小鳥が飛び立つのかと思ったら風に吹き上げられた葉っぱ達だった昨日までのニヤついた夜風は急にひんやりよそよそしくあの山の上空あたりに雲をかき集めて暗くした北国の8月なんてこんなもんだ浮かれ騒ぐチャンスを逃したから空色のワン…
100の心構えなんて何もしてなかったよ100でやめちゃおうよって当初かいぬしとぼく話してたのに100日目になるの忘れててかいぬしは呑気に泳いできたしぼくもほよよボールに頭突きして遊んでたんだそれでぶんちょ会議の結果やりたいようにやるべってことになっ…
夏の夜はぬるくあやしく危うさをはらんでいるんだよ無防備なこころでうっかりお酒なんか買いに行ったら不意に帰り道を見失っちゃうのこころを、あの流星群のあたりに置き去りにして酔った体だけ帰ってくればグラスも椅子も奇妙に昼間の熱を残していたこころ…
充分な旅支度して意気揚々とぼくらは探索の旅にでかけることができる途中で困らぬ程度のおやつも方位磁石も持ってねでも求めるものにたどりつけないと知ってるぼくはしってる永遠なんてものはどこにもないんだとぼくは知ってるでもかいぬしの探し物に付き合…
とても感謝していることをお伝えしようと思いお手紙を書き始めたら感謝のことばは勝手に便箋から空飛ぶありんこのようにとびだして思い思いの場所へと出稼ぎにいってしまった残された余白はため息でうめることはない羽の模様の美しい便箋だったからそのまま…
春の次がすぐ、秋であれば良いのになどどうすぼんやり夏を疎んじていたぼくらにとって今年の夏は少しだけ特別な夏になったようだふりかえれば悲しみを小出しに伝えてしまったきらいはあるがでもすべてを語ることはしない方がいいように最近では思えるぼくら…
たいした距離を飛ぶわけでもないけど翼はきれいにきれいにお手入れするぼくの大切な大切なつばさじまんのうつくしいつばさかいぬしは飛べないけれど泳ぐときだけほんの少しその気持ちがわかるらしいそうだね自分を地にしばりつける力から瞬間解放されて最大…
今日ぼくブイプーに挑戦したの今まで怖くて周りに飛び散る滴をちゅーちゅーするだけだったけど飼い主のおててと一緒なら入れるかなって「押すなよ押すなよ」って言いながらちょっとずつ入ってみた外では夏の太陽がじりじりセミはしゃあしゃあカーテンはふう…
言われた通りだ幸せの尺度は人によって違うだから苦悩と苦悩を突き合わせて比較してみたところでそこには何のこたえも解決もないんだ苦悩もまた人に与えられた究極の自由のひとつだとか言ったやつでてこいやーその尊厳をすべて奪われる時やはり苦悩とどう向…
とても疲れていたし揺れている白い紫陽花が一斉に焼き上がったメロンパンに見えたし信号の点滅よりもハクセキレイのお尻の動きに目を奪われたものだから赤信号にかわったことに気づくのが遅れてしまってごめんあそばせおそらく車の窓から死ねとかなんとか言…
今日はかいぬし大切なお友達に会ってきたからぼくいい子でおるすばんぶんちょしてたろくでもない学生時代の中に燦然と輝く唯一無二の宝石なように大切なお友達だからパンケーキにどぼどぼメープルシロップをかけまくりながら苦しかったこの数年の話や過ちの…
ぶんちょをよく知らない人がぼくを見てペンギンですか?だってぷぷぷぷぼくぶんちょだよ老眼の人がぼくを見ておにぎりですか?だってぷぷぷぷぷぼくぶんちょだってばぼくぶんちょでよかった「将来何になりたいですか?」なんて煩わしい質問うんざりだからね…
世界に許されるには世界を許すことから始めなければならない最後の選択は各々にまかせると適度な具合で突き放すかみさまは今の世界ではほどよくゆるいそれでも天国の門前は延々と生真面目に距離を保って品よくきれいに整列して面接を待つよに最大限好印象の…
水は沈黙のように重く深く沈んだ体にのしかかってくる目をつぶって潜行すれば浮力と推進力のすきまからにやりと笑いかける何かがいて息を止めてるのも忘れてなんだよと返事をしそうになる時間と意識が消失すればいつでもあまりにも無になりすぎてああ人間は…