2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧
何のために生きてるかわかんないとその人は良く言ってたとても若い人だけど全く平坦な道のりではなかった人ですわははぼくに訊かれてもわかんないよでもそれ、たぶんかみさまもわかってないよわからないからこそ人間なんてものをこねくり回して作ってみたん…
これ初めましてのピリカちゃん去年の11月13日のことですなんて可愛いんだろうおそるおそるのさし餌にも「ほらもっと奥まで突っ込んで大丈夫だよ」と自らにじり寄ってきた子コクシジウムのお薬もあの頃とてもがんばったね君は雛換羽がほんとに早くてあっとい…
ぼくは換気扇育ちの雀です少し油くさい巣から巣立った雀ですただの雀で名前はつけられてない捨てても捨てても戻ってくる蜘蛛は別にそんなに不思議じゃないこっそり帰りの道筋に糸で印をつけていただけのことニンゲンの目には見えないのだなとどまらぬ欲に絡…
あたしは妥協をゆるさずわずかな綻びもゆるさず編み上げた巣の中央で8本の足を伸ばしたあたしの肢体が終わってゆく1日を引き伸ばそうとニンゲンが虚空にのばした手のように見えはしないかとぼんやり考えていたあの手よりあたしは全きもので強きものだと証す…
お祭りで綿菓子をくるくる掬い取るように怒ってる蜘蛛ごと巣を木の枝で巻き取って遠くの草むらまで捨てに行ってた捨てても捨てても何度でも翌日には同じ場所に巣を作り上げていたどうやって帰ってくるんだろう君よほどここが気に入ってるんだな確かにここは…
今日は声が弾んでいますねはい いいことがありましたというかちょっぴりいいことをしたので気持ちがあかるいのですおばあさんと手をつなぎました知らない人と手をつないで歩きましたおばあさんはしっかりと私の手を握りました私は私がころぶわけにはいかない…
おじいちゃんは黙っているしおばあちゃんは歌っている聞きたいことがあるけれど波の音が大きすぎ見てもらいたい場面があるけれどそこだけうまく切り取れないおじいちゃんは黙りつづけてるおばあちゃんは歌いつづけてるもてるだけの優しさを使い果たして自分…
ぎゅるるぎゅわわ風のうるさい夜だよさみしいわけじゃない遊び足りなかったわけでもない風なんで眠らないのぼく耳に豆苗詰めようかなぎゅるるぎゅわわ風はごうごういきっててぼくのベランダで暴れてる雪は下から吹き上げられては地表にたたきつけられて散々…
心象風景に雪がないと言ったきみに無性に今夜の雪を届けたくなった雪の夜道はどの季節より明るいんですよ雪が音を吸収してしまうから どの季節より静かなんですよ人の足跡も獣の足跡も風の足跡も言葉達が通り抜けて行った足跡も今夜の月は明るいものだからす…
「ごめんなさい」って言えなくてごめんなさいその一言を口にしたらほんものの悪い子になっちゃうみたいで誰かのせいにしておきたいの「わからないこと」をわかりたくない気持ちわかってね正解っていつもきびしいものなのだから時間稼ぎしてるの心がもうすこ…
あ、ピリカおやつの時間だよわくわく今日は竹筒に入ってるねおいしいよピリカそしてやっぱりぼくピリカの方がおいしそうに見えちゃうちょっと味見させてねいいよねちょっとだけね 「だめよ ぴっちゃん」かいぬしはケチだよぷぎゅる
牛乳より白く雲より白く空白など満たしつくしてわたし白でいたい染まりやすそうでいて清廉とこばむことのできるわたし白でいたいその年いちばんに降る雪のように誇らしく挑み続けるように喜びの到来を勇んで告げるように季節を惜しんで降る雪がふわり優しく…
君が好きだよどこもかしこも好きだよ今日の君を永遠にそばに置いておけないことが少し寂しいんだよでも君は笑ういつも笑う川は流れるからいいんだよと笑う君の歌が好きだよ世界中のどのぶんちょより君らしく愉快でまぬけへんてこな歌だけど実は和音とテンポ…
2月だというのに雨この時期の雨は迷惑で危険です積もった雪がじゃくじゃくとシャーベットみたいに溶けちゃって足を取られて転んじゃうおやもう春ですかな?なんて地表から僅かに土の匂いがたちのぼるけどだめですまだです誰かが落とした手袋の片方も秋ぐちに…
今日ピリカは止まり木タワーからジャンプして降りてテーブルからも自力で降りて部屋の奥のかいぬしのところまで一生懸命ホッピングしてたどり着いたたどり着いて蝉のようにかいぬしのスカートを登ったいつもは手タクシー来て来てと鳴くのに自分の意思で頑張…
あおちゃんだめだったと聞いてぼくは悲しくなったも少し早く保護されていたら助かったのかな細く綺麗なあの首のラインは力なくのびてしまったのだろうかそれともまた別の曲線を描くのだろうか「あおちゃんどこ行ったの?」 無邪気にピリカが問うええとねピリ…
ことば代表者会議の席で“しあわせ”は自分達が過大評価されていると懸念を口にした双子の“不平and不満”はまず会議席の椅子が小さすぎると指摘した(ほんとはね、君らのお尻が大きくなっていってるんだよ)“愛”は都合よく浪費されていることに半分腹を立て 半…
外があんまり雪だからゆっくりすぎる雪だから窓辺に座った左側の頬から耳にかけてがページをめくるたびくすぐったい外の銀杏の木と目が合えばどうにもくすぐったくてかまわんねと彼も耐えているこの世でいちばん大切なものを抱えるような仕草で女のひとがチ…
ピリカにダンスのコツを伝授していたのつまりはね悲しみなんかを撚り合わせた縄で大縄跳びしてる要領なんだよ跳ね続けて跳ね続けてかわしてもかわしてもぐるりとまた回り戻っては足に絡みつこうと企む縄の中で挑むように跳ね続けてぼくらの足をすくいつまづ…
冷蔵庫しんだだんだん調子悪くなっていったわけじゃなく前触れもなくいきなりしんだいろんなスイッチ押してみたりコンセント抜き差ししてみたけどダメだうっかり目覚めた夜ちょいと飲んでおこうかねと開けた庫内がまぶしすぎてああまぶしまぶし余計目が冴え…
ぼくたち並んでおやつタイムしてたの白いお皿がぼくのオレンジのお皿がピリカのなんかぼくピリカのおやつの方がおいしく見えたピリカもういらないの?いらないならぼくもらうよいいよね もらっていいよね「だめです」ってかいぬしに言われたからぼく潜り込ん…
今日はピリカが書いてみたいというのでぼくは後ろから見守ってみますではぼく時計をつついていたの銀色の秒針にかみついてやりたいのにガラスが邪魔して届かない待ってよ秒針ぼくのくちばしコツコツとガラスに当たり秒針はカチカチと知らんぷりかいぬしあの…
顔つきというのは変わるものだ雛換羽を終えたからだけではなくピリカが自分をピリカだと認識し始めたような感じそれでも飼い慣らされるものかと拒む野生がきらりと瞬く時があるそんな時のきみはやはり美しくきみの頭の中は疑問符と感嘆詞でいっぱいだきみの…
みなさんおはようございます明暗の空に一斉に爆笑しているカラス達今朝はずいぶん早くから賑やかですカラス達の声を現場からお届けします揚げ足ってからりと揚がってさくさく美味いものなのかねおれの足冷たくてかなわんわいつまで冷凍食品の日々続くのかね…
こんなに明るくきっぱりと風の輪郭まではっきり見える世界に赦された朝ゆえに未来の喪失のために今のうちに少し泣いておいてはだめでしょうか一生に流す涙のノルマが決まっていたとしていまのうちに小出しに汲み出しておいてはだめでしょうかこんな喜びの朝…
君のしているピアスや指輪を素敵だなぁと思って見ていたじっと見ていたわけじゃない話の合間に何気なく視界にはいったそのアクセサリー自体のデザインやらが可愛いとか綺麗とかじゃなくそれらを身につけて馴染んでいる目の前の君がアクセサリーごと素敵だと…
なんかもうどんどんぼくたち見分けがつかなくなってくる頭ぽわぽわのつやつやがぼくちょっと痩せてて頭ぺたんこがピリカ今日の鬼ごっこは珍しくぼくが鬼だよピリカみーつけた!豆苗畑からにょきっとでてくる遊びを何度もした楽しいねピリカそしてぼくらはま…
あなたの顔だけは最後まで絶対忘れないとその人はめそめそと言ったいやいやいや忘れちゃいなよ いちばんにね1番忘れたくないもの1番先に忘れたら後の残りはずいぶん身軽になってその後に続々と押し寄せる忘却の連鎖日々取りこぼしているものが何であるのかす…