鼻の奥がつんとした
わさびならば
頭蓋骨の内側に衝撃がくる感じ
朝の冷えた空気ならば
鼻腔の上側が収縮する感じ
そうじゃなくそこじゃなく
鼻の奥の奥の
言いかけた言葉をのみこんで
ぐっと力をいれるあたり
叫び出したい衝動を
押し戻す粘膜の向こう側あたり
そこがつうんとする時は
くちびるのはじっこに
ぶら下がっている笑いが重たくなって
なんだか涙が出てしまう
何かしら目に混入するのを防ぐために
眉毛は目の上に配置されているのですが
こんな時 意思持つ眉毛たちは
足のたくさん生えた虫のように
さわさわと目の下に移動してきて
上から流れ落ちてくるものを
堰き止めなければと考えている
(でもぱっと見は、紙飛行機が目に刺さって痛がってるようにぼくには見えた)
ピリカ今日はかいぬしに
たかいたかいをしてもらって
幼な子らしくきゃっきゃとはしゃいでいた
ぎゅっと指に伝わる握力
たった3枚の羽から生まれてくる風
ピリカの風
ぼくも感じとっていたよ