もう秋風

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こんな時間に一斉に小鳥が

飛び立つのかと思ったら

風に吹き上げられた葉っぱ達だった


昨日までのニヤついた夜風は

急にひんやりよそよそしく

あの山の上空あたりに

雲をかき集めて暗くした


北国の8月なんてこんなもんだ

浮かれ騒ぐチャンスを逃したから

空色のワンピースも一回着ただけで

終わっちゃったね


しかもぼく

見慣れない服に警戒して

「げっ!げっ!」って

変な声出しちゃった

ごめんねかいぬし

似合ってたかどうかなんて余裕なくて

なんもおぼえてない


ほら空はもう群青色

あの針葉樹のあたりから

登ってくる夜風が

ぼくらにはちょっとひんやりしすぎだから

今日はもう窓をしめようか

100ブログ達成していた

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100の心構えなんて何もしてなかったよ


100でやめちゃおうよって

当初かいぬしとぼく話してたのに

100日目になるの忘れてて


かいぬしは呑気に泳いできたし

ぼくもほよよボールに頭突きして

遊んでたんだ


それでぶんちょ会議の結果

やりたいようにやるべ

ってことになった


終わりの気配をしのばせるさまざまな者たちを

悼むことばはまだまだ豊富にあるし

なによりも、

ぼくらの愛する秋を語らぬまま

ブログが終わるのはもったいないからね


今日の写真は先代ぴっちゃんです


いつだって君に会いたい

いまでもずっと君がだいすき


さあかいぬし

明日もいっぱいあそぼうね




寝苦しい夜でも

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夏の夜はぬるくあやしく

危うさをはらんでいるんだよ

無防備なこころでうっかり

お酒なんか買いに行ったら

不意に帰り道を見失っちゃうの


こころを、あの流星群のあたりに置き去りにして

酔った体だけ帰ってくれば

グラスも椅子も奇妙に

昼間の熱を残していた


こころは定規でひいたみたい

迷いのない線のように

夜空を走っている

かける願い事も思いつかぬまま

ただ瞬間瞬間をたのしもう


優しいことばは耳に心地よいね

ぼくの歌が下手だって?

短調なフレーズだって?

失敬だなきみ

そこにこめてる気持ちはいつだって

ほんものなんだよ


夜が優しくありますように

不都合な真実から目を逸らしても

今日のきみがしあわせでありますように

今日のきみがよくねむれていますように

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充分な旅支度して

意気揚々とぼくらは

探索の旅にでかけることができる

途中で困らぬ程度のおやつも

方位磁石も持ってね


でも

求めるものにたどりつけないと知ってる

ぼくはしってる

永遠なんてものは

どこにもないんだとぼくは知ってる


でもかいぬしの探し物に

付き合ってあげよう


いつもいつも

痛い靴で立ちすくんで

黒い服で泣く作法も予感にも

飽き飽きしたからね


だから一緒にでかけてあげる

かいぬし

逆から数えたらわかりやすいよ


本当に大切なものと

捨ててもかまわんものとは

実はとても見分けやすい


身軽な旅をぼくが、先導してあげる

ぼくぶんちょ添乗員の

ぴっちゃんともうします

お手紙

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とても感謝していることを

お伝えしようと思い

お手紙を書き始めたら

感謝のことばは勝手に便箋から

空飛ぶありんこのようにとびだして

思い思いの場所へと

出稼ぎにいってしまった


残された余白は

ため息でうめることはない

羽の模様の美しい便箋だったから

そのままにしておこう


賢き友は

読み取ってくれることだろう

果たせそうにない約束も

やがて薄れることばの効力も

そんなことはきにもとめずに

丁寧なてつきで

静かに文字に目を落として

片目ずつ閉じた

ぶんちょのまぶたを

繊細な眠りを妨げぬように

静かに次の頁を繰ることだろう



短い夏恐るるに足らず

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春の次がすぐ、秋であれば良いのになどど

うすぼんやり

夏を疎んじていたぼくらにとって

今年の夏は少しだけ

特別な夏になったようだ


ふりかえれば悲しみを

小出しに伝えてしまったきらいはあるが

でもすべてを語ることは

しない方がいいように最近では思える


ぼくらの悲しみは

ぼくらのものだけであった方がいい

いい加減手放してしまおうぜと思う一方で

それらすべてを葬り去るのは

幼い日々を抹殺してしまうような

寂しさを伴うものだから

いまはね

悲しみをうまく傍に配置したままで

もう随分研ぐことをしなかった刃物のように

うまくあしらうことが

できる頃合いになったんだと

そんな気がするよ

翼あれば憂いなし

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たいした距離を飛ぶわけでもないけど

翼はきれいにきれいに

お手入れする


ぼくの大切な大切なつばさ

じまんのうつくしいつばさ


かいぬしは飛べないけれど

泳ぐときだけほんの少し

その気持ちがわかるらしい


そうだね

自分を地にしばりつける力から

瞬間解放されて

最大限抵抗を削ぎ落とした

流線形を保つことに

努めれば

翼あるものの擬似体験くらいはできそうだね


いつかかいぬし

一緒に飛ぼうかね

臆病で隣の部屋までも冒険できないぼくだけど

いつか

本物の青い空を教えてあげてるよ

悲しみを煮詰めたような青さではなく

宇宙から滴り落ちてきた

恩寵のような青さを