夕暮れのお茶

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空と海とは
その広がりをきそうように
いま
そまってゆくところ
大きさにおいては
海は空にはかなわなかった
けれども空は
海にうつしだすことでしか
自身の色合いの美しさを知る
方法がなかったので
互いを讃えあいながらも
その
金色の雲をふちどる夕暮れのことばは
夜の舞台袖へとそっと
退避した

ティーカップの表面にうつっていたものを
僕は、片目でのぞきこんで
見てみたよ
そこには秋の星の気配が溶け込んで
やはり波のように
静かに揺れていた