2020-08-18 カモメ そのカモメは明らかに風を楽しんでいたもう夕暮れ時他のカモメは寝床に帰って明日のフライトに備えて翼の手入れなどしているのに彼女だけは風といつまでも戯れていた水平線と名付けてぼくらが想いを馳せる場所は実際には存在してないどこまでもどこまでも空と海は交わることがないからだ淡い曖昧さはもう夜の群青色に塗りつぶされてしまうから早くおうちへお帰りと終わってゆく一日の優しい名残りを風切り羽で小気味よく切り裂いて彼女は沖へと向かっていった水平線を目指して風に乗っていった