夏休みの宿題は丸めて捨てた

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こどものころの夏休みの宿題に
『お年寄りから戦争の話をききましょう』ってのがあった

かいぬしのおじいちゃんは
「こどもに聞かせられる話なんてあるか!」と
プリントを捨てちゃった
そのかわり浜にでて
青い絵具と
白い絵具を
良く水にとくこともなく
ゴッホの油絵のようにべたべたぬりつけて
はげしい波の描き方をおしえてくれた

おばあちゃんもやはり
詳しくは話してくれなかった
でも
白い馬が走ってくる夢を見た人は
みんな次の日銃で撃たれたんだと
しかも目を開けて馬を見たまま
死んでゆくのだよと

教えてくれた

島の夜は波の音が大きすぎて怖い
街灯もない夜空の
星のおおさは
幼いこどもを乗り物酔いさせる

街中で見る星の数はたかがしれてるが
間引きされた街の夜空の
星の合間から不意に
白い馬がかけおりてきやしないかと
かいぬしは耳をすます


でも聞こえてくるのは

ぶんちょの寝言だけ

ぷぎゅ