たいした距離を飛ぶわけでもないけど
翼はきれいにきれいに
お手入れする
ぼくの大切な大切なつばさ
じまんのうつくしいつばさ
かいぬしは飛べないけれど
泳ぐときだけほんの少し
その気持ちがわかるらしい
そうだね
自分を地にしばりつける力から
瞬間解放されて
最大限抵抗を削ぎ落とした
流線形を保つことに
努めれば
翼あるものの擬似体験くらいはできそうだね
いつかかいぬし
一緒に飛ぼうかね
臆病で隣の部屋までも冒険できないぼくだけど
いつか
本物の青い空を教えてあげてるよ
悲しみを煮詰めたような青さではなく
宇宙から滴り落ちてきた
恩寵のような青さを