わらいながら散る桜

ぼくおめめのあたりに

抜けたふわふわ羽がくっついて

とれません

おめかしみたいでしょ

白いまつエクつけたんだよ

           ぷぷぷ

 

(たぶんこれをとるためには

 悪くなっている方の左足で片足立ちをして

 右足でかきかきをしなければならないから

 ぴっちゃんには難しかったのかもしれません

 

 ぴっちゃんが今いちばんとまりやすいのは

 止まり木のような握るタイプではなく

 ややカーブのついた

まるめたタオルなどです)

 

とってもらってすっきりしたお顔

 

ぴっちゃんを“老鳥”さんと呼ぶのは

まだちょっと違うと思うけれどかといって

“若鳥さん”とも違う

老いの入り口に確実にさしかかっているとは

感じます

 

高齢ぶんちょさんと暮らしている方々が

口をそろえていうのは

「老鳥には老鳥のたまらない魅力と愛おしさかある」ということ

 

私もその愛おしさを1日1日積み上げていっている

 

着地のときにずっこけたり

ホッピングが低いこと

ピリカのようにはぐんと、胸をそらして

仁王立ちすることはなかなか難しいこと

 

でもきらきら

わたしをみつめかえしてくる瞳は

変わらないよね

そうだよ

変わらないんだよ

 

    ピリカです

ぼくもぼくも!  ほら

ぼくの目力、

かわらないでしょ  ぷぷぷ

(ピリカちゃん、くちばしの生え際

 はげてきちゃったね

 がんばれ)

 

八重桜ももう終わり

 

ふつうの桜がはらはらと

月夜にひそやかにこぼれていくのと違って

 

八重桜たちはなんだか

「おめでとうございまぁーす!」とにぎやかに

嬉しげに散っていた

何がそんなにめでたいのか

 

小川のカーブにもピンクのよどみができて

まったく先にすすめないのに

みんなげらげら笑っていた

 

今年うまれたばかりのクマバチは

自分の羽音に誇りを感じながら

笑う桜をかわし急カーブをきめるごとに

やっぱりおかしくなってきちゃって

笑いながら飛んだ

 

笑う花弁集めて

封筒にめいいっぱいつめこんで

未来の自分へ送りたくなった

そんなもの送ったことも忘れたころに届いて

封筒あけたとたん

げらげら桜達に笑われたい

その時どれだけ中途半端に生きて

袋小路で迷っていようが

「おめでとうございまぁーす」って

桜達に笑われたい