2020-10-31 ストイックな残照 地面の傷口から流れる血を塞ぐようにして紅葉がはりついているあんなに燃える山のむこうへ鳥たちは帰ります優しい予感を引き連れてひらひら楽しげに散る桜とは違って紅葉は峻烈に命を際で燃やしつくしている長い凍結の日々を乗り越えようと自然におかれたものたちの厳しさがあの業火の熱を自らの内側にとじこめたまま死に対峙しているだから山は今もえているいくつかの雪虫がそっとさよなら言いに来たなるほど燃える山の頂からは焦げくささではなく もう雪の気配がにおってきている