手袋発見

ぼくはこのかいぬしの手首の

不安定なあたりで踊るのがすき

 

かいぬしの脈動をちょっと

感じながら

ぼくらのいのちといのちを

添わせてみたりなんかして

早朝の雪山のてっぺんは

ピンクに輝いて

やあとても

ぼくのいちにちの始まりは

きれいじゃないか!   って歌っていたら

ぼくも!ぼくも!って

ピリカが乱入

 

ぼくはソリストタイプなのになぁ  ぷぷぷ

 

   ピリカです

ぼくおにいちゃんのお歌だいすきなので

どうしても近くでいっしょに踊りたいんですけど

 

おにいちゃん

行ってしまったから

とりあえず茎いきます茎!

          かみかみ

 

 

吹き荒んだ風の跡が

雪面にのこってる

 

おっことしてしまってからきづいた

あの手袋にはトナカイの刺繍が

してあったんだった

 

冬の落し物っていうのはだいたい

そこらの木の枝にかけてあるものだけれど

ひとりぼっちでトナカイ

持ち主のお迎えを待ってると思ったら

急にかわいそうになった

 

あちらの枝

こちらの枝

探しても見当たらず

エゾマツさんもあんなにひどい風でしたからね

遠く吹き飛ばされてしまったかも

しれませんねと

申し訳なさそうに

さらさらと雪の粉をこぼしてきた

 

さみしいきもちでおうちに帰ったら

なぜかふたりのケージの前に手ぶくろ落ちてて

ぴっちゃんとピリカに

とても笑われた

そもそもここだったんですよかいぬし