夕空に蝶々

えっ

つけすぎ?

かいぬしわらいすぎだよ

ぼくいっぱい食べたんだ

たべたあとは

ここでおひるねするから

にぎにぎしててね

          ぷぷぷ

 

    ピリカです

ぼくはくつしたスナイパーです

豆苗のかげからねらっているんだ

おっ

くつしたはっけん!

隊長みずからせんせいこうげきだぞう

            ぷぷぷ

 

 

夕暮れの空に

悪魔の後ろ姿を見た

頼りなく翼をひろげて

鉤爪の足をぶらり垂らして

あしきものはあしきものとしての生を

なぜ引き受けたのだろうな

涙をながしたぶんだけ

体の水分がぬけて

あの夕焼けのように血はあかぐろく

濃くなってゆくの

上空の風が悪魔の胴体をちぎりとり

あとに残ったのは翼だけ

散開した四肢も2対の羽に形を変え

みるみる空は

夕陽にそまる蝶々でいっぱい

さようなら蝶々

たくさんのあしき蝶々

命の意味を幸せの定規でははからない

幸せだったと言えないまま

夜が始まってしまっても

わたしたちは生きているでしょう