かいぬし今日はコンサートだね
ぼくのくちばしについてるおやつのかけらは
気にせず楽しんでおいで
ピリカです
おるすばんがんばります
こんさぁと行ったらっしゃーい
と、ふたりにおるすばんしてもらい
うっきうきでコンサートへ
この日のために交響楽団の定期会員になったのだ
あ、今日も飛んでるよ
アオサギさんこんにちは
きみも反田さんのラフマニノフ聴きたいでしょ
会場は満席
いつもの定期演奏会と違って今日はみっちみち
さすがの集客
客電が落とされて
明るく舞台が浮き上がってくるあの瞬間がすき
指揮者がのしのし歩いてきて
反田さん登場
きゃあ、髪の毛耳にかける仕草すてき
(完全にミーハー)
リズムに乗って主題が始まる
はい、どこへなりとも連れ去ってください
そんな感じで出航する
このラフマニノフは対比なんだとおもう
ピアノとオーケストラのかけあい
いっそ
甘美に流されてしまえば
苦悩は消えることができるだろうか
でもそれをゆるさず
苦悩があがきつづける
文字にしてしまえば相反するものたちは
対立してるようにみえる
よろこびとかなしみも
やすらぎとくるしみ
ひかりとかげ
でも文字の意味をとっぱらってしまえば
それらすべては
矛盾することなく同時に存在できるし
存在していいものなのだと
この曲は語ってる
いつもそうだ
かきわけてかきすすんで
目を凝らし息をつめて
こころふるわせて
たどりついた場所には
自由がひろがってる
突き放したように唐突に終わるクラシックの曲ってありがちだけど
ラフマニノフはちゃんと壮大な高みに
連れて行ってくれて集結する
ほら
指揮者あんなにも虚空にパンチをくりだして
赤い布の貼られた指揮者台から
転げ落ちそう
指揮棒の先からインクがもれでて
虚空に模様が描けるなら
今日ここらいったいは
まぜあわされた悦楽でいっぱいです
クラシックって
すぐ拍手しちゃいけませんみたいな
ルールがあったりするけど
今日は最後の一音を反田さんが投げ上げるのと
指揮者が
「我、敵の首級を獲ったり!」みたいに
指揮棒をびしいっ!と頭上に振り上げるのと
ほぼ間髪をいれずに
怒涛の拍手だった
しかも鳴り止まない
バイオリンも足で床をどんどん打ち鳴らしていた
↑
それにまた感動しちゃったのです
指揮者も拍手しまくりの観客を制して
「すごいねぇ!」って
叫んでた