包丁が落ちて
足に刺さった
傷口からぷつりと
音がでるよな勢いで
半円形に盛り上がる血は
てんとう虫だよ
体の末端ってのは
出血しやすいものではあるけれど
それにしてもつぎつぎ
てんとう虫いくらでも
狭い皮膚の破れ目から
生まれ出してきて
生まれ出ることがもう
嬉しくてたまらないかのように
生まれだしてきて
指の突端から
順繰りと離陸してゆく
ナナホシテントウとかいうけど
ほんとは星じゃあなくて
あれは太陽がつけた
焦げ目なんだよ
焼け焦げた甲の下に
くしゃくしゃと収納していた羽を
今こそひろげて
飛んでいかなくちゃならない
空に道があることを
知っているものだから
この身体の中に潜めていた
自由への希いを動力にして
飛んでいかなくちゃならない
ピリカです
ぼくの華麗なるスサーを見てよ
くすくす
羽はまばらだけど
今日は真上に30センチくらい飛び上がれたよ
しかも滞空時間が3秒ほど
ぷぷぷ
ぼくのしんきろく
ピリカたのしそうだったね
ぼくもうれしいよ
ぽぴ