蟹はね
ああまったく水平線てのは
どこまでも
いやんなるくらい
水平線だよな
って考えて
このままじゃどこまでも平行線だから
不屈の努力で
縦に歩くことにした
前に向かって歩くには
元気よく手を振る必要があったけど
いつも空にむかって
ちょきちょきし続けてきた手を
おろすのは怖い気がした
脳裏をかすめようとする
悪い思いを断ち切るためにも
ハサミはこの位置で持っていたかったのだ
おまえ何ばかなこといってんだと
ひきとめようとする自分の影を
ちょきんと切り落として
蟹は歩き出す
水平線と対峙して
ぐいと引き寄せ
どこかに一ヶ所
見通しのいい場所をつくっておいて
たくさんの星があの向こうへ
落ちていってしまうのを
阻止しなくちゃならないと考えていたんだ
だって星はぜんぶ
だれかにとっての大切なだれかだから
おにぎり狙ってる
おにぎりぶんちょ
(海苔多め)
つぶれおにぎり
つぶれ度合いと幸せ度合いは
比例しているんだって
ぽぴっ