耳を塞いで走ろうと思った
特別な言葉を聞いた後で
もう耳を縫い閉じて
それを閉じ込めてやろうと思った
奪われるわけにはいかないと思った
誰とも分かち合えない類の
崇高な孤独を目指して
その熱量で走るつもりだった
その効力の失われる限界域まで
行けると思った
(賞味期限より少しばかり長く走れると思った)
でも耳の奥とじこめられた言葉は
そこに大人しく安住することを拒み
内側から頭蓋を圧迫し続け
吹き飛ばそうと抵抗している
これでは走れない
縮んだ手足を空に向け
力尽きたことばの死骸を見つけるのも嫌だから
放ってやろう
より強靭な羽を付け足してやるから
飛んでけことば
今夜眠れないもののもとへ
明日を始めなければならない
すべてのもののもとへ
なんかぼくに似てるから
かわいいと思って買ったものの
食べづらかったスイーツ
似てるかなぁ
ぷぷ