さとみさんの金木犀

f:id:bunchosparrow:20210411214343j:plainオスマンティウスというハンドクリームに

さとみさんが足を止めて

ああこれ金木犀

初恋の匂いだわと笑う


封筒に優しく想いを入れて

恋する人の心を覗き込むような

期待で郵便受けを開け閉めするような

スマホなんてない時代の話

ある日その少年は手紙に

金木犀を入れてくれたそうです

喜んだひとみさんのために少年は

級友にからかわれながらも校庭の金木犀を摘み

手紙には必ず押し花にしていれてくれたそうです


北国にはないその花のやや強めの芳香は

いつまでも消えることがなく

まるで恋する人の言葉ひとつひとつが

花のように咲いて

聞いたこともないその人の声が

なぜか耳に心地よく語りかけるような

堂々と背筋を正して想いを伝えつつ

最後の行でふと

照れて笑うような

夕焼けの校舎のわきを抜ける風をすこしはらんだ

そんな懐かしい文字に宿る香り


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お酒に桜を浮かべてみた


さとみさんとその文通少年の恋が

その後どうなったのかはわからない

今のご主人なのか 

とうに終わった淡ーい思い出の中の人なのか


聞いてみたい気もするけど

こういうのは聞かない方が美しい


文字で香りを伝えるって難しい

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ぼくの匂いは

若さと悪戯心にあふれた

ハッピーターンと焼きいもブレンドだよ


        ぷぷぷ