わらいきのこの話

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わらいじにするっていいよなっておもった


ぼくらはひとより心が

大きいんだと思う(あるいはすきまがある)


だからたくさんたくさん

かなしみが、はいってしまう


突然どうにも

ロビンウィリアムズがどうやって死んだのか

知りたくてたまらなくなる

気になってほかのことはもう

なんにも手につかないくらい気になった


でも調べずに

かわりにきみに手紙を書きたいんだ


できれば楽しいことばかり書きたい

読み終わったきみが

温かい気持ちで

その日のおつゆの出汁をとりはじめるようなやつ


でも今夜は自信がない

なぜならもうすでに

涙が表面張力ぎりぎりなんだ

だから

ぼくは

さいしんの注意をはらいながら

こぼさぬようにながさぬように

まばたきして

笑いきのこのお味噌汁をつくる


しょっぱめのおつゆが完成するころ


ロビンウィリアムズの死因をしらべるのをやめて

君への手紙をあきらめて

新しい画用紙をあきらめて

そろそろわらいじにの頃合いかなとおもったら


どこからかヤギが現れて

もしゃもしゃと

ああ全部ぼくのお味噌汁をたべつくして

ぼくを、みて大笑いしながら

しんでゆくところだ


ぼくはヤギの死因がぼくであることを

悲しむべきなのに

あろうことか

笑うヤギに共感しすぎて

ずっと一緒にわらっていたんだよ


空っぽのおなべをかかえたままで



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