それは素晴らしい午後だった
ぼくら3人で静かに身じろぎもせず
互いの呼吸を分け合っていたんだよ
ぼくの吐いた息をかいぬしが吸い
ピリカの吐いた息をぼくが吸う
ピリカゆっくりと目を閉じる
ぼくもゆっくりと目を閉じる
そんな動作の1秒がとんでもなく
長く引き伸ばされて
1秒の中にすべてが美しくおさまっていた
1秒がこれ以上ないほどに満たされていた
僕らはたぶん1秒が『永遠』に変身する瞬間に
立ち会っていたのだろう
ぼくらの体から白い糸が
ゆらりふわりとたちのぼり
ぼくらの頭上で手を繋ぎ始めた
やがてぼくらの体が燃えて
昇って行く煙の一筋のようでもあり
ぼくらのいのちが今この時この場所に
留まるための命綱のようでもあり
時間・種別・生死を問わず
あるもの全てが互いに
結び合うことのできる記号のようでもあった
ピリカゆっくりと目をあける
ぼくもゆっくりと目をあける
次の瞬間に到達するまでの
永い永い未知の1秒と目が合うと
「美」が衣を脱ぎ捨てて
惜しげもなく裸体をさらしているところだった
ピリカまたぼくのシード食べちゃったでしょ
ぼくしらなーい
キヌアならたくさん残ってるでしょ
キヌア人気なし。