おやすみカバーをあけると
もわんとピリカの匂いたちのぼる
若さと勢いにみちて
匂いまでもが意思もつ生き物のようだ
雛羽が抜けたら匂いが変化した
お口のまわりはペレットの甘さ
おしりのあたりは尚甘い
ほんとは体じゅう嗅いで点検したい
翼のない脇の下
そこにほんのり憧憬が隠されてないか
雪模様の胸
誇らしく顕示が漂ってないか
ビロードの黒い頭部
思考の形になりきる前の混沌が
ぐねぐねと何を放っているのか
まだ薄いアイリングのあたり
一度くらい泣いたんじゃなかろうか
おかあさんを思って
泣いたんじゃなかろうか
そんなこと考えたら
ぼくのアイリングいつもより赤くなってしまった
いのちというもののにおい
鼻腔いっぱいに吸い込んで
君の持つにおいの粒子
ぼくらのうちゅうにちりばめる
きみはしあわせでなくてはならないよ
ぼくもしあわせでなくてはならないね
鼻の穴の上あたりに
ちいさな白い羽が左右2つずつ
はえてる
鼻息で粉雪吹き飛ばしてるみたい
ピリカきみは
おもしろい北国ぶんちょだね