季節はずれのハマナスは

今日のおやつもみかん

甘酸っぱくておいしおいし

 

おやつタイムにはしゃいでいたピリカ

ほら

夕陽をゆっくり見ようよ

 

日毎、沈む時間が早くなるでしょ

ぼくも日毎、眠くなるのが早くなるよ

              ぷぷぷ

 

    ピリカです

おにいちゃんは夕暮れをまったりと過ごしますが

 

だめです

ぼくはむしろひと暴れしたいです

 

ぼくは荒ぶる隊長なんだ

             ぷぷ!

 

 

ハマナスって不思議

赤く実がみのっても

さらに新しい花が咲いたりする

そろそろ人との会話の中に

「うちもうストーブつけたよー」なんて

話題がおりこまれる季節なのに

きれいに咲いている

でももうじっと待っていても

蜂たちはこない

 

ハナバチは女王蜂以外は越冬せずに

死んでしまうらしい

みんな最初で最後の夏を存分に生きて

みんな冬というものをしらない

みんなみんなしんでしまうんだ

 

稀にとんでもなく体力のある蜂がいて

おおこれが冬というものか

と喜んでしんでゆくのかしら

でもそれが

「冬ですよ」と誰にも教わらないから

寒さを寒さとして知覚できずに

ただなんとなく

体がうごきませんねえ

背中の羽がもう開かないみたいですねえ

ぼくはもう飛ばなくてもいい感じがしますよ

花粉もどこにもありませんしね

なんて考えているかもしれない

間違って晩秋まで生きてしまうハナバチが

さみしくないように

ハマナスは寒さの中でも今なお

つぼみに花を咲かせるのかもしれない

   とぼくは思う

 

家族がみんなしんでしまってもなお

長い長い冬を耐え抜いて

ひとりぼっちで生き延びる女王蜂を

はげますために

ハマナスは凛と冷えた朝陽のなか

臆することなく

つぼみに花を咲かせるのかもしれない

   とぼくは思う