お月見は羊羹で

今日もぼくは

スプーンにはいる努力を続けた

 

この中に入って寝たら

たのしいと思うの

 

でもいちばんはここだよ

ぼく何時間でもここにいられる

             ぷぷぷ

 

     ピリカです

圧の強いポーチ

ぼくこわくないぞう

 

ちゃんとのしのしと偉そうに歩いて

今日もピリカ隊の巡回をおえたよ

 

今日もぼくはかっこいい隊長だった

             ぷぷぷ

 

 

人生の中には

「悲しみ」と「喜び」があるんだけど

それらごたまぜにして

プラマイゼロにはしたくない

それぞれ悲しみは悲しみとして

喜びは喜びとして

別々の場所に大事にとっておきたい

互いを打ち消し合うのではなく

ちゃんとそれぞれに

生存権をあたえたい

 

今日もカラス達は屋上にみんな集まって

夕日が沈むのをじーっと眺めている

年若いものなのか

寝る前に遊びたくなるのか

戯れ合って飛ぶものもいる

戯れ合うふりして

私をのぞきに来ているような感じもある

羽が空を切る音が聞こえるほどの

近くまできて

視線はこちらに固定したままで

体をひねって方向転換してみせる

暮れてゆく景色の中を踊る影絵みたいだ

 

「あのにんげん、

 いつも羊羹食ってるよな」なんて

あのカラス達の間でわたしは

ちょっと有名になったのかもしれない

 

夕暮れ時が終わって

部屋の反対側の窓からは

大きな黄色いお月様

 

いいのいいの

おだんごじゃなくたって

羊羹でいいの