愛の難破船ととうきび

おやつポイントでうきうき

ちょっと少ないなって

ぼく思うんだけどどうかな   ぷ

 

かいぬしおかえり

まぶしまぶしだから

はやくおやすみカバーかけて

ぼく明日も早起きして

朝陽にはんげきしなくちゃならない

 

初冬の寒さは

迎え撃つ喜びがあって好ましいが

春の寒さは

不意打ちや裏切りにあっているようで

どうにもつらい

     というわけでとうきび増量ラーメン

 

ラーメンって会話もなく

ただもう一心不乱に食べる食べ物で

でも最初の一口で決して火傷しないように

細心の注意をはらいつつ

忙しくれんげを上げ下げし

麺がのびちゃったりしたら

このいっぱいのどんぶりに対する

礼を失してしまうように感じて

いちばん美味しい瞬間を

じょうずに絶妙に

すすりあげなくちゃいけない食べ物だ

 

テレビでは昭和の懐かしアイドル特集

 

右隣のカップルは

スープの残りを大事に飲みながら

明菜ちゃんについて語っていた

昔、そごうの屋上にまだ無名の頃の明菜ちゃんがきて

同じ曲を2回歌ったんだ

寒いのに半袖で

かわいそうだな、でもかわいいなって見てたらさ

そのあとみるみる大スターになったなぁ

あれだよな、明菜ちゃんってのは

アイドルっていうよりはアーティストだよね

それで今どうしてるんだっけ

いろいろかわいそうだったけど

今、しあわせなのかね

しあわせだといいよね

ときどきさ、

たくさんの人をしあわせにしたのに

自分はちっともしあわせになれなかったひとって

いるよね

いるね

 

自分を壊してしまうほどに

ただひとを愛する重みについて考えてみる

きっとその重みが

沈んでゆく船を海底につなぎとめるんだ

 

わたしのどんぶりの底には

丁寧にかきさぐるとまだまだ

沈んだとうきびが出てくる

大事にたべながら

そんなこと考えてた