ランドセル

今日もいい夕陽だった

ぼくの暮らすお部屋から

夕陽が見られるのは本当にしあわせだ

南から桜のおたより

ぼくのとこも今日は暖かかったよ

春は近づいたり遠のいたりしながら

確実に暦をすすめているね

 

     ピリカです

(ピリカちゃん白文鳥さんはどこいったの?)

えーと えーと

どこだっけ?

(床に転がってますよ)

ぼくじゃないよー

ねー

            ぷぷぷ

 

 

 

古びたランドセルが捨ててあった

かわいらしく古びて役割を終えた

空色のランドセル

ランドセルって

1年生が背負うには大きすぎて新しすぎて

成長へのよろこびとさみしさがあるけど

6年生が背負うにはもう小さすぎて幼すぎて

でもやっぱり

卒業を迎えることへの誇らしさとさみしさが

入り混じる

 

ここから先はね

透明のランドセルを背負います

そこにはいくらでも

つめたいだけものをつめられます

つめたものによっては

肩に食い込むほど重くって

もうこんなものはぶん投げてしまいたくなるやつ

実際よく

そこらじゅうにぶん投げてある

でもいいんだ透明だし

誰だってたいてい一度や二度は

人生の中でぶん投げることになってる

ぶん投げたあとでそっと

拾い直すことも可能だ

そうやって背負い続けてきっと

だんだん腰が曲がるのかもしれないけど

 

すべての卒業生におめでとうと

ぼくは言いたいよ

 

ぼくらの人生には何回か

“卒業”がおとずれる

それはきっと

未来の作り方を学ぶ次のステージです

そのためにきっとぼくたちは

過去をまなび

現在を知る必要があるのだと思う

 

「おめでとう」