空をみた

ぼくこないだ爪切りして

かいぬしに保定してもらってたら

だんだんどんどん気持ち良くなって...

寝たの

 

かいぬしはぼくが具合でも悪くなったのかと

びっくりしてたけど

ぼくが気持ち良くて寝ちゃってるとわかると

脇の下や

おなかや

なんとおしりまで

すみずみ触ったり匂いをかいでいたよ

           ぷぷぷ

 

    ピリカです

ひい!  むりです

ぼくにはぜったい無理です

ぼく保定されたら

ちからいっぱいぶんちょキックして

ふんふん鼻息でるくらい

怒っちゃうもん!

見てるだけで怖くなって

自分のケージに帰ったよ

 

 

かなしいことがあった
よく知ってる種類のかなしみだった
でも慣れることなんて
できない種類のかなしみだった
 
地下鉄をまちながら泣いた
ほんとは泣き虫なこと思い出した
鼻をかんでから車両にのった
 
かなしいときに乗りものにのるとね
もっとはやくっておもうよね
もっともっとはやくはやく
足りないもっとはやくはしってもっともっと
そうしたら
かなしみはついてこれなくなって
ふりきってしまうことができるんじゃないかって
 
 
でもこのかなしみは
分類わけするなら不幸とはちがう
ぽつんと置き去りにするのもまたちがう
きちんとコートの胸の中におさめて
あたためるようにして帰ったんだ
 
それではこの胸のかなしみは
どういう種類のものなのかというと
「愛おしさ」と言い換えていいものだと思った
コートの胸かきあわせて
ここにおはいり
うちに連れてかえってあげますよってね
 
いとおしいかなしみを
自分ごとだきしめるようにして
 
空を
みた