お気に入りの木がある

ぼく打たせ湯をしているところ

水をちょくせつ背中にあてて

いいあんばいだよ

そのあと乾かすと

いつものふわふわヘアーだよ

洗いたてのぼくはあまい香り

 

      ピリカです

最近お歌に熱がはいるの

 

ちからいっぱい歌うと

すっきりするよ

そしておなかもへるから

かいぬしシードもっとください

(あげましたよ)

 

通い慣れた道の

いつも見上げる木

物言わぬ街灯のようなただの物体ではなく

ちゃんと季節ごとに違う顔をみせてくれる

ほとんどもう

顔見知りという感覚にちかいくらい

慣れ親しんだ木

 

樹齢というものに詳しくないけど

雨にぬれても

雪に埋もれても

いつもここにいる命があって

そしてそれは

わたしがいつかこの通りを歩くこともなくなっても

ここに在り続けるだろうと思うと

なんだかうれしい

 

秋の透明な空の下で

人が傷つこうが

苦悩にさいなまされようが

後悔にうちひしがれようが

そんなことは関係なく

人の心などお構いなしに

樹々は今、劇的にいろづいていく

粛々と季節に従い

その場から動くことなく根を張って

長く生きるいのちがあることが

なんだかうれしい