夏の雨

にょきーん

かいぬしが変な歌うたったから

ぼくよく聴こうとおもってのびてみた

ぷぷぷ

歌、へただねぇ


ぼくはかいぬしと

お花の雑誌見たりカミカミした


おっ

これもカミカミできるかな

             ぷぷぷ



思い切り目をつぶって

強めにごしごしこすって

それからぱっと目をあけてみると

星に色がついてきらめいたり

二つに分たれた星が

ゆっくり歩み寄ってひとつになることを

こどものころ発見した

とてもとても大切な発見だったから

とてもとても大切な人にしか言わないでおこうと

とてもとてもだいじに胸の中に隠し持って

結局誰にも伝える機会のないままだ


がくあじさいに雨が降り落ちて

ぽつんぽつんと花がはじけるようすは

蝶がよろこびに羽をふるわせているみたいだ


いよいよ雨ははげしさを増し

本物の蝶は撃墜され

押し流されていったね


きみの星はまあるいのですね

ぼくの星はぎざぎざがついてる


きみによびとめられて

ふりむくときぼくの星には

しっぽがはえているんだよ


ぼくの見ている星は

きみの思う星ではないのだろうけど

もうなんにも聞きたくないから

ことばも雨に撃墜されて

流れてゆけばいいね