観客はみな死にました

おくちすごいことになってる

青米もらったから

だいじにだいじにかみかみしてるとこ

青米たべるとしゃくれちゃう

おいしおいし

 

    ピリカです

ぼくは青米口から飛んでいって

うまく食べられないからきらーい

ぼくはシードのほうがすきですー

なんか描いてある   ぷぷぷ

 

昨日のコンサートホール

アンコール曲の時のこと

 

 

冒頭からああなんて光の粒が、ぽろぽろ

こぼれてくるようだわと

うっとりと聴き入っているうちに

だんだんどんどん

ホールの中は浸水して

みんなみんな水没してしまった

あるものたちは中層で

浮上するでもなく

沈没するでもなく

ゆらゆらそよいでいた

ピアノは重たいものだから

当然水の最下部に沈んだまま

奏者はとっくにしんでいて

あれはピアノ自体が意思持つ生き物だったのだ

みんなみんな

旋律にひきこまれて

あふれる水の中で

自分が死んでいることに気づかぬまま

静かに逍遙としんでいた

わたしももう久しく呼吸なんてしてないけど

あいたピアノのふたから

ちいさな泡が水上を目指すようにして

音があがってくるのをみていた

すべてはしにたえて

物質だけになってしまった世界で

わたしと音だけは

自由に行き来し

上下も左右もなく

くるくるとまわり

遊ぶことができたのは

私自身がもうほんとうはここに存在していないから

なのかもしれないとおもった

きこえるものをきいていなくて

めにうつるものをみていない

いろんなものが消え去ってとりこまれる

「無」を

かぎりなくみずがみたしてゆくかんじ

 

 

完全に反田さん狙いで行ったコンサートなんですが

務川さんのアンコールのときに

みんな水没してしんでしまって

とてもとてもびっくりした

イメージの話です

 

やっぱりおうちのスピーカーで聴くのとちがって

大ホールの音の響きって生きてる感じだった

3階席だったのだけど

音がふわーっと舞い上がったり

逆に上から降ってきてみたり

天井に何か仕掛けでもあるのかしらと

(そういう緻密に設計された構造なんだろうけど)

音に色がついていて

目に見えたなら

すごく面白いだろうなぁと思ってみてた

 

 

帰り道

しんだ観客は皆人間にもどって

大雪の中をたのしげに歩いて帰っていった

 

 

 

めも

ラモー

ガヴォットと6つのドゥーブル