金魚のきんちゃん

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その他大勢 たいしたかわり映えのない

だいだいと黄色の中間のような金魚です

他のみんなと同じでよかった

平均の中に紛れていれば

いつだって安全でした

特別ではいたくなかった

だれもわたしを見て欲しくなかった


でも縁あって

小さな男の子の金魚となったものですから

何時間も観られ続けています

あんまりずっと見られ続けているので

わたしの鱗は金色めいてまいりました

あんまりずっと見つめかえしていたので

男の子の顔や手を覚えてしまいました


「きんちゃん」と呼ばれてみれば

水草の向こうからゆらゆら

いつだって男の子が見えます

嬉しいということばにそよがされて

わたしは口をぱくぱく

小さなあぶくに託します

小さな小さなその言葉を託します

男の子には聞く力があるようです

小さなこどもは等しく

大きくなる力を持っているようです


この狭い器を押し広げて

もっと強く泳ぐ力がわたしにもあるようです

ぼやけた世界の呼び声に

答え続ける力があるようです

その力がさらに

わたしの鱗をかがやかせるはずだと

わたしはすこし信じる力があるようです



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ぼくバードバスもホヨヨもブランコも

 全然平気


おにいちゃん全部ダメなのに

なんでご飯袋だけは入れるわけ?

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......

           ぷぎゅ