ぴっちゃんは交響曲 ピリカは鯨の唄

かいぬしのおててで

交響曲なんか聴いてたの

 

胸の深いところから
何かをすくいあげて
きらきら優しい光に透かしてみるような
涙の源泉からすくいあげてきた
ひとしずくを大切に大切に
楽譜にうつしとったような
そんなフレーズが不意に訪れるでしょ
 
冗漫でややだるい
前奏な部分から
その美しすぎるフレーズにたどりつく過程は
 
1日のはじまりから
すべきことをあれこれこなし
心をもやしながらおちてゆく
あの夕陽の瞬間にとてもよく似ているね
そうでしょ、かいぬし

ああぼくはもうねむい

 

     ピリカです

おにいちゃんたちがきいていたのは

らふまにのふ

ぼくはもっとのりのりの

ピリカ隊行進曲なんかがいいと思う

豆苗め

ぼくがやっつけてもやっつけても

明日にはまたもじゃもじゃに

のびてるんだよ

            ぷぷぷ

 

どうでもいい音はどうでもいいけど

気になる音や

気に入った音には

ふたりとも反応する

 

ぴっちゃんとわたしは音楽の傾向が似ている

と感じる

同じ音楽で眠くなったり

胸があつくなったりする

(ぴっちゃんはあんよがじわわと熱くなる)

 

今日、アラスカのテレビをみていて

鯨の唄声が流れたら

ピリカちゃんはとても気になったようで

隊長用の台のところで

一緒に歌っていた

 

ハワイ沖からアラスカまで

遠い遠い旅をするクジラさん

ぼくのバードバスまで泳いでくるなら

よろこんでピリカ隊にいれてあげたいと思う!

 

 

群れでおさかなを食べるザトウクジラたちの

天に向かって

ぱかりと開いたお口の中が

すこしぶんちょと似ていた

 

 

ぴっちゃんと聴いていたのは

ラフマニノフ交響曲2番の第三楽章です

体の内側が

オレンジ色と金色に

燃え崩れていくようなうつくしさです