ハナバチさんのこと

かいぬしおやつがはいってないよ

 

おやつはいくらあってもいいよ

それから

にぎにぎたいむも多すぎてもいいよ

 

     ピリカです

夕陽でぼくのくちばし真っ赤になったよ

白鳥さんたちが美しく

編隊をくんで渡ってきたよ

V字の突端を率いるのは白鳥の隊長さん

やあやあ

ぼくはピリカ隊長だよ

 

紅葉ももう終盤

今朝は雪虫が舞っていた

 

大好きなマルハナバチさんももういない

蜜をくれる花もみんな枯れてしまったもの

 

女王蜂となる1匹だけが越冬して

あとはみんなみんな死んでしまうのですって

 

ふわふわおしりのハナバチさんは

草のかげなんかで

ひもじくて

寒くて

だんだん動けなくなって

元気に飛び回っていた

自分の羽音を思い出しながら

死んでゆくんだろうか

まぶしい太陽や

色とりどりの花の色彩を

目の奥に描きながら

死んでゆくんだろうか

蜂の一生に一回しか夏がなくて

ほんものの冬を知る前に死んでいくわけだけど

1匹くらいは猛烈に

冬に憧れて

あの静寂と無色の世界を

どこまでも飛んでみたいと

思うものはいないのだろうか