ベランダで逆立ちをしてると
夕陽に足をひっぱられて
もろとも空へ落ちていきそうになる
深い青さに追いつめられて
道連れが欲しいのだろう
真昼の熱を残したぬるい縁を
握りしめて
夕陽の強烈な引きの力に
屈するまいと
ぼくは耐えている
からだの内側では
心までもがめりめりと
ひきのばされていくところだ
あんなに赤く
泣きはらした目で
自分で描いた地獄の絵画に
ひとりとりこまれることを恐れて
つかみかかってきた夕陽は
あきらめてひとこえ叫んで落ちた
残響のなか
目を凝らしたけどもう
その表情はみえない
ぼくはまだしばらくベランダにいる
ひどく炎症をおこしたこころを
冷やしてしまわないといけない
夕陽をみるのは好き
単純にきれいなだけでなく
喪失と再生 循環と摂理を
感じさせてくれる
たぶん動物もわかってると思う
夕暮れ時に前足にあごのせて
じーっと見つめているリスや熊をしってる
ぼくもわかっているよ
かいぬし
ぼくだってわかってるよ
かいぬし
噛んで確かめてみれは
この世の謎はだいたいわかるよ
ぽぴっ