さいわいすむとひとのいう

ぼくたち元気ないからって

かいぬしおみかん買ってきてくれた

おいしおいし

ピリカはおおはしゃぎしちゃって

大変だったよ

おいしおいし

 

 

    ピリカです

おっ かいぬし

みかんですね

ぼくうれしいですから

ぶん投げながらたべます

このようにっ

このようにっ

 

たのしたのしのおやつタイムでした

 

 

 

 

かいぬしもクッキー

大事にちょっとずつ食べています

 

 

カールブッセの「山のあなたに」

という詩をかいぬしがつぶやく

ぼくはかいぬしのくちびるを

みて集中している

ピリカは「それで?それで?」

という顔をしてかいぬしの

親指と人差し指の付け根な部分を

ちみちみしてくる

     (かいぬし痛がってるよ、ピリカ)

 

ぼくらもきっと

「やまのあなたに」

出かけてゆくと思うのだ

そこに「幸い」はなかったときかされても

ないことを確かめたくて

やはりでかけてしまうと思うのだ

 

「我 ひとととめゆきて

 涙さしぐみ帰りきぬ」

のその人とすれちがいながら

 

ぼくら3人は歌いながらでかけるのだ

かいぬしぼくは思うのだ

山の彼方に幸いがないのであれば

 では、そこにあるのは何であるのか

 確かめて見る必要があると。

 

ピリカは言う

「山の彼方に幸いがないのであれば

 そこはまだ山の彼方ではないのです

 かいぬし、さらに先の彼方をさがすべきです」

と。

 

だからぼくらは

さんにんでどこまでも

山をこえつづける

あの夕陽をおいかけてどこまでも超えつづける

 

そうするとぼくらは

ぐるり地球を一周して

結局ここにもどってくる

 

「幸いの住む場所」に

もどってくる