ことばはいらない

おやつを食べ終わったぼく

ぼくらに言葉は必要ない

こうやってかいぬしのおててに体をよせて

眼差しでアピールすると

かいぬしはちょうどいい

手の形をつくってくれるから

あとはもぞもぞともぐりこむだけ

 

ああいいあんばいだよ

             ぷぷぷ

 

     ピリカです

だめですかいぬし

きび穂でぼくのおむね、さわさわするの

とてもだめです

きび穂め!

    おいしいからいいか

              ぷぷぷ

 

 

夏のあの暑さはなんだったんだろねって

話していた

すこーんときれいに気温が落ちた

 

晩秋の夜って

どうしてこんな静かなんだろう

うっかりもらしたため息も

だれかに聞かれてしまうかもしれない

感嘆符をもらす一瞬前の

息を短く吸い込むわずかな空気の震えさえも

ばれてしまうかもしれない

 

大きなことばも音楽もいらない

静けさをかえって

誘発するひそけき音というものがあるのだ

愛なんてことばは

ごく小さくてよい

雪虫の羽音より尚、ちいさくてよい

 

赤くかこったおめめの奥で

ちいさくちいさくまたたく

お星のかがやきだけで

愛はつたわるのです

          ぷぷぷ