流氷のうえでたべるおにぎりは
とてもおいしいね
あれれ
ピリカちゃんのおにぎり...
ごまあざらしさんが
思わず手にとっちゃったね
いいんですいいんです
いっしょに食べましょう
かいぬし!
あいつだれ??
....ピリカの影だよ
新入りめ!
ぼくのほうが、えらいんだぞう
ぷぎゅわ!
14時46分
みんなで黙祷した
でも水の音がやまなかった
薄目をあけてそっと見てみたら
やっぱり薄目をあけて
こっちをみている水と目が合った
目をとじてゆらゆらしている人々はもう
実態よりも
うつっている影の方がほんものみたいだった
水の音がやっぱりやまなかった
黙祷を終えた後
姜尚中さんの本をむしょうに読みたくなった
(津波にのまれた人をさがすダイバーの仕事を選んだ若い青年と、姜尚中さん自身の往復書簡からなってる小説だ。)
姜尚中さんは、自分の意見を言う時
「あー」とか「えー」とか間投詞を一切いれない
よどみなく静かに
ほとんどつねに何かを悼み続けてるかのように
ことばを話す
その彼が、しぼりだすように
これを書かねば死ねないんだくらいの熱量で
誰かに読ますというよりは
自分のために書いたようなあの小説を
とてもとても読みたくなった
それで水の中を今日は
たくさんもぐってきた