冬眠中のシマリスさんに
春はまだだよーって教えてあげたふたり
そうですね
わたしたちのくらす土地では
春はまだまだ先ですね
「鈴木丸のおはなし」
浜風つよくて
スカートがめくれた
むこうからきた鈴木のおじいさんは
きれいになったなぁとか
いい女になったなぁとか
言う代わりに
じいさんの幽霊かと思った
と嬉しそうに笑った
それからやや乱暴に握手した
「鈴木丸」って書いてある船は
いつでも勝手に使えと
短いたばこをほとんど食べるようにして
浜をあがっていった
ひどい嵐の夜
ちょっと船をみてくると言って
浜におりた鈴木のおじさんは
そのまま海になった
どこにも見つからないかわりに
そこらじゅうどこでも
鈴木さんなのだった
浜風つよくて
ここのハマナスの花弁は頑なです
ただの木材になって
積まれてる鈴木丸だったものを
いいだけ夕陽にさらして
かけぬけていきます
海のおとこの目尻もまた
たいてい乾いて頑なでした
(↑これはゴッホの絵のまねっこです)
今日から明日にかけて大荒れ
町をぬける風の音と
浜風を同時に吹き鳴らしたら
微妙にハモりつつ
後者が勝つような気がする
ぼく今日もたくさん遊んでだいまんぞく
ぽぴぽぴ