後ろからついてきてるはずなのに
影はいつのまにか
ぼくを追い越して
足長になったり
短足になったりしながら
夜風にのってきこえてくる
甲高い犬の鳴き声にこたえたりしてる
開け放った窓からは
それぞれのおうちの匂い
食器のぶつかる音や
テレビの音がして
笑い声なんか聞こえたら尚うれし
うれしんだあとですこしさみし
ぼくもおなかがいっぱいだ
そうなんだ
こんな夜って
1年に数回あるかないかなんだけどね
どこかわからない
遠い日の何かが懐かしくなるんだよね
そんなわけでこんな夜って
ぼくからぼくが
こぼれおちてしまうのだ
それをどうすることもできないのは
過去もこの先も
きっといっしょだから
ただたまごいろの
お月様をおいかけて
さっきからずっと
ふざけ続けてる影に
先導されながら
ゆらゆらと歩いていくんだ
ぷぷっ
おにいちゃんまたそこで
ぎょわぎょわしてるの
みないでよー!
ぷぎゅ