やさぐれてまぬけな帰り道

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負けたくないという気持ちだけが

宙に浮いていて

でも競うべきことがらも

相手もいないのに

どこから来たのかこの気持ち


その気持ちをつぶさに観察してみれば

どうやら

負けたくないのではなく

負け続けている自分の

かなしみやさみしさがとけこんでて

仕方ないじゃないか

がんばってどうにもならないことはあるし

がんばってみたところで

頑張り足りない自分の手足は

すでにもうこんなに疲れているよと

胸の中にすむカラスが笑う


ここでひとりがんばって

重心のとりづらいヒールで

仁王立ちして

スカートのスリットを最大限

ひろげたあたしが

流れてゆく駅の広告をにらんでいたところで

何かこの街の行き場のない閉塞感や

偉大な人々が死んでゆく日常には

何の影響力もなくて

勢いよく振り回した紙袋の中で

多分おしゃれなケーキはぐちゃぐちゃになってるだろうし

それ以上にアイラインすでにすくいがたく

ポケットティッシュって必要な時には

さっと出て来ないこの苛立ちを

おもいきりすすりあげて

まだよまだ

家に着くまでは泣いたりしないぜったいにまだ

と手押し信号を乱暴に連打して

ああ家が遠い

家の方があたしを迎えに来てくれれば

いいのにちくしょうなどど酔いながら

冷えた松ぼっくり飛ばしてやろうとして

からげりしたはずかしい


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ケーキ死守


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かいぬしばっかり

すてきおやつずるいー