外があんまり雪だから
ゆっくりすぎる雪だから
窓辺に座った左側の
頬から耳にかけてが
ページをめくるたびくすぐったい
外の銀杏の木と目が合えば
どうにもくすぐったくてかまわんねと
彼も耐えている
この世でいちばん大切なものを
抱えるような仕草で
女のひとがチワワを抱いて道をゆく
チワワもくすぐったがって
しゃんと歩こうとしないんだよ
女のひとの髪の毛も
白髪がむらに伸びてるのか
雪が積もってるのか
ここからじゃわからない
くすぐりの刑に耐えながら
立ち続けるポストがいちばんつらい
わははと笑っちゃったら
中の郵便物をぬらしちゃうからね
泣きたい人も
泣きたくない人も諸共笑いをこらえてる
でも雪が本当に笑わせたい相手は
雪の奥深く
地中で冬眠するものたちだ
春の夢を永遠に見続けながら
うっすら微笑んで死んでゆくのも
まあいいけれど
こしょこしょくすぐって
生きてるかどうか
確かめているんだよ
お気に入りのとりさんセットで
おやつタイムしたかいぬし
ぼくらのシード少なかったのにね
ねえピリカ