きいきいと楽しく
ナナカマドの横で
こどもたちの笑い声を
青空に届けていたブランコは夜
酔客を気遣いながら揺らして
きこきことさみしく軋んだ
順番を待つものもない
夜のブランコは
まさしく大人の乗り物だ
あなた吐いたりしませんかね
だいじょぶですかね
ブランコの杞憂を体重移動でかわして
さらに高度をあけてゆけば
ブーツを星空に
投げ飛ばしてもいい頃合いだ
この多幸感がどれほど
暗い夜の樹々に色をつけられるのか
かじかんだ手が
挑んでいた
ブランコをこぐ女の霊が出るとか
心霊スポットになったらいけないから
もうやめておこう