くもじろうが語るには

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あたしは妥協をゆるさず

わずかな綻びもゆるさず

編み上げた巣の中央で

8本の足を伸ばしたあたしの肢体が

終わってゆく1日を引き伸ばそうと

ニンゲンが虚空にのばした手のように

見えはしないかとぼんやり考えていた

あの手よりあたしは全きもので

強きものだと証するために

捨てられても捨てられても

壊されても何度でも

戻って営々と巣を編み上げた

『くもじろう』なんて男の名前もらって

まあいい

要点はそこじゃない

あたしの編み目にニンゲンの心なんか

引っかかったことが嬉しかったのだ

あたしのうぶげが夕映えに金色なことも

夜露がクリスタルビーズのようにおさまっていることも嬉しい

あたしはひょっとしたら

剥がれ落ちてゆく思い出やら

こぼれ出てしまう悲しみなんかも

この糸で絡め取ってしまうことができるのかもしれない

自分が万能で特別なものに思えて

嬉しかったのだ

嬉しがっていたあたしは

不意に鳥のくちばしに攫われて

あたしの8本の足は食べられていった

あたしの8個の目は涙なんか流さずに

最後に思いきり放った糸が

なんだか流れ星みたいよねって

見てただけ

それであたしは終わったけど

悪くはない



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ぼく爪切りがんばった

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ピリカは筋トレがんばろうね