欲しかった本見つけた

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ぼく人間に換算すると32歳らしい

ふふっ

32歳


のりのりの32歳ですなぁ

どうりでね

あびてもあびてもぼくの羽

すぐお水はじいちゃうの

買ったばかりの傘のように

ぶるるっと振れば

あっという間にかわいちゃう

脂っこいおじさんみたいな感じなのかなぼく


この本は

きっと鳥をとてもとても愛している人の

目線で丁寧に書かれているから

かいぬし

最初の6ページでうるうるしちゃったんだよ


ぼくはぼくの時間の速さで

あっという間に歳をとってしまうから

その予感に

かいぬしがしんみりしちゃうのはよくわかる


ニンゲンのスピードと

ぶんちょのスピードは

ちがうんだかいぬし


だから今日の喜びを讃えておこう

   今日の命が尊いことを

   今日の慈しみが     

   明日もまたぼくらを

   迎えにきてくれることを

その小さなささやかな毎日が

ぼくらの素朴な1日を

豊かに彩ってくれていることを

優しく時を経ていくことを


ぼくかいぬしのてのひらで

ぺたんとおなかをつけて

小さくとくとくと

鼓動をきざむよ





あてにならない祈り

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もしもしそこにどなたかいますか?

と問えばいつだぅて

誰かしら

疑問点にも

ささっと答えをおしえてくれる


でもかみさまのお返事は途方もなく長い

そもそもかみさまへの手紙

途中でだれか食べちゃったのかもね


「祈り」は

それが届いて帰ってくるまでの時間をも

含めて祈りなのだときいたけど

いい加減

何を祈ったかもわすれちゃったぁ


かみさまはきっと

途方もなくずぼらか

忍耐を試しているかのどっちかだよ


ぼくいいや

口に手を当てることもなく

げらげら大口で笑うひまわりのように

午後の怠惰を笑い飛ばして

今日も元気にいこう


あてにならない祈りの結果を待つことは

ほぼめんどくさいから

今日は今日の太陽を

うなじにあびて

じりじり焼かれておいで


おやすみなさい⭐

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あの街の灯りの一つ一つに

暮らしがある

幸せな家庭はどこも同じに見えるけれど

不幸な家庭には個別のストーリーがあると

トルストイはいったね


ぼくはあの灯りのどこかで

おやすみカバーをかけられた小鳥が

幸せないちにちを終えて

安心して寝ていることを思う

明日の訪れを

微塵もうたがうことなく

よく手入れされた翼を

きれいに折りたたんで

起きている飼い主の気配に

すこし安心しながら

明日もまた

すてきな歌を届けなくちゃと

明日はもっと

かっこよく踊らなくちゃと

明日もきっと

優しいての中で

ぼくまったりしちゃうなと


小さな鼓動はとくとくと

ぶんちょの時間を刻んでいく

魚くらいちゃんと焼こう

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仕方ないじゃないか

かいぬし

焼き過ぎた魚はひかひかで

おいしくないんだよ

夢中になってなんかやってるから

お魚タイマーと

ぼくのぴっぴっの呼び声を

間違えたんだな


焼き立てごはんにのせて

はふはふとおいしく食べて

残りはおにぎりにして

仕事に持っていくはずだったのに


ひかひかのかちかちの

ぺらぺらのしゃけを

かいぬしそのままお口に放り込んで

もぐもぐかんでいた

鮭トバみたいでこれはこれでおいしいよって

食べ物に適当すぎるよ


お魚くらいちゃんと焼こうね( ´ ▽ ` )

ぶんちょ星人

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ぼくほんとはうちゅうじんなの


もっとも愛されやすい容姿をまとって

物質社会にひらり

遊びにきたうちゅうじんなの

ぽぴっ ぷぴっ


ぼくぶんちょ星人

ぼくここがきにいってる

地球をきにいってる

かいぬしのそばをきにいってる

ほんとは地球はかりものなのに

にんげんは自分のものみたいに

切り売りしてよろこんでて

ぼくすこし笑っちゃう

ぽぴっ ぷぴっ


星と星の間に何があるか

しってるかい

引き合う力の正体は孤独なんだよ


さらりと扉をあけて

友を迎え入れるように

受け入れたならば

ぼくらの暮らす狭い部屋は

限りなく広い宇宙に擬態する

響けぼくの歌

だれかと交信しよう

ぷぴっ ぽぴっ

はっちくん

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「はじめましてこんにちは」と

「さようなら」は

ひとつのセット商品なんだと

その人は淡々と

悲しみを突き放すような口調で

喪失を靴底でならすような仕草で

愛犬とのお別れを

知らせてきてくれた


玄関に誰かがくると

わおーんとお知らせしてくれた

まあるいお目目や

てろんと垂れた可愛いお耳

あそんであそんでと

もじもじお尻をふって

お出迎えとお見送り


がんばったんだね

最期まで

そういってあげなよかいぬし


こんなとき言葉に詰まって

なんにも気の利いたことが言えない


がんばったんだよかいぬし

いられるだけそばにいたんだ

愛する人のそばに


かわいいお花を送ろうね

足りない言葉を優しいお花が

補ってくれますように


無邪気に彼はいまごろ

身軽なからだになって

そこらじゅうかけまわってるよ



お静かに

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からだはとっくに降参して

もう寝ます無理ですと

動けずにいるのに

頭の中は騒がしくて眠れない

「ご静粛に」と諭す声すら

こだまがかえる


ぱちんと電気を消すように

その騒がしさを黙らせてやろうと

スイッチをあちこち押してるうちに

当たりをひいてしまうことがある


あれはそういうことだと

ぼくは思う


お静かにねがいます

どうぞお静かに願います

だれも眠りをさまたげてはいけません


そういうことだと

ぼくは思う