2020-10-25 友と別れたあとで 池の周りの紅葉ももう終わりの頃合いあたたかみよりは凄みを見せて燃えるような赤が炎のように降りおちるから長い長い黙祷を捧げる人のようにそこから立ち去ることをしない水面にしなだれかかる枝をかいくぐって呑気に二羽のカモが泳いでくるがあがあ水かきのついた足は便利ですねすいすい小魚が跳ねるぱしゃり水面に映る赤い業火はゆらゆらと揺れて波紋が向こう岸の誰かへ伝言を届けます陽はいま金色に傾いて昂然と顔を上げて泳ぎ去るカモはモーセのように水面を割った