銀杏の葉が緑のまま落ちるのは
なんだかもったいないよ
濡れた地面にはりついて
誰もかれも踏み散らかして
色を新しくしたとしても
火星が接近しているのを見ないのも
もったいないよ
次は13年後だって
自分の年齢に13足して
うわぁなんて軽く驚いてる場合じゃないよ
ぼくがみられないように
きみもみられないかもしれないんだから
火星にかぎったことじゃない
中盤まで読んだ本
明日にはぶん投げたくなってるかもしれない
当たり前に食べる鮭
数年後には遡上しないかもしれない
今朝飲んだミルクティーですら
毎日違う味になるんだもの
いまがいまだから
愛おしいのかもしれない
両手がじゅっと火傷した
ほんの少し夕暮れを押し戻そうとして