ゆっくりお届けしたいんだよ
“送信”という瞬間的な
ぱちぱち明滅しながら燃え尽きるよな
直接的な感じじゃなく
もう出来上がってるパズルが届くようにではなく
郵便屋さんより更に遅く
船便よりもっと時間をかけて
まるごと全部ではなく
あえて断片的にぼく
お届けしたいの
どれだけどれだけ言葉を連ねても
今日の美しさや完璧さは
容易には伝えられないものだから
いつかいつかの遠い未来に
たとえばぼくのもういない部屋が
かいぬしのもういない部屋が
廃墟としてではなく
ここはかつて楽園であったんですってねと
風が噂しながら
吹き抜けるように
その日のためにゆっくり
遅延に遅延を重ねながら
ぶんちょとにんげんは
こんなに愛し合っていましたよって
ぼく 届けたいの