こんなに明るくきっぱりと
風の輪郭まではっきり見える
世界に赦された朝ゆえに
未来の喪失のために
今のうちに少し
泣いておいてはだめでしょうか
一生に流す涙のノルマが決まっていたとして
いまのうちに小出しに
汲み出しておいてはだめでしょうか
こんな喜びの朝があることを
教えてくれた君から
悲しみを教わりたくない
生きて辿りついたこの場所の
当たり前に映る景色の
一瞬一瞬がやみくもに奇跡を起こしつつ
だめになってゆく体の内側で
奮い立つ冬の寒さ
心は抗っている
果敢に抗っている
こんな悲しみがあることを
予感させる兆候など
己の中に見るものかと
入り込んでくる寸分の隙も
与えるものかと
かいぬしの手の取り合い
ぼくにもヤキモチの気持ち
あったみたい
覗き込むピリカから隠れたくなって
手の中に高速で隠れちゃった
ぷぷぷ