冷蔵庫しんだ
だんだん調子悪くなっていったわけじゃなく
前触れもなくいきなりしんだ
いろんなスイッチ押してみたり
コンセント抜き差ししてみたけどダメだ
うっかり目覚めた夜
ちょいと飲んでおこうかねと
開けた庫内がまぶしすぎて
ああまぶしまぶし余計目が冴える
などど当たられて
あるいは
がさがさ探索が長引いたお知らせ音に
ピーピーうるさいよわかったからはいはい
とあしらわれて
それが俺の仕事なのに理不尽に当たられて
俺は冷蔵庫だ サンドバックじゃないし
下僕でもないと
怒りも情熱も冷めて
仕事する気も凍結してしまったのかな
お酒はみんなぬるくなった
バターもやわやわ
牛乳がくさい
豆腐がやばい
何このにおい
冷やさない冷蔵庫は
生ぬるい棺みたいだ
おかしいよね
逝く者の手はどんなに握っても
ぬくもりをそっと拒否して
送り出される時を待っているのに
死んだらおさかなは
逆に妙にぬくもって
きみこんなひどいにおいだったのかと
互いに悶絶し合ってる
いい雪が降って氷点下
ベランダに出したら
当たり前にみんな凍ってしまった
豆苗無事ならどうでもいいよぼく