飛ぶ

豆苗たべたよ

おいしかったよ

ふわふわもこもこのぼくのおぱんつも

ちょっぴり豆の匂い

葉をおとした冬の木立に

アカゲラさんの声が響いていた

ぶんちょの声ととてもよく似てるんだ

ぼく元気にご挨拶した

やあアカゲラさん

冬がきたねえ

この冬もどうか元気におすごしください

 

   ピリカです

ぼくこのむらさき色の光のつぶつぶ気になる

わあ 今度は赤くなった

いくらみたいだ

彫りの深いあいつ

うちゅうと交信してるのかな

            ぷぷぷ

 

ピリカが手のひらから飛び立つ時

じつに力強く蹴る

嬉しげに「ぴぴちぽ!」などと鳴いて

やや大袈裟な羽音とともに

飛んでゆく

手のひらの力の余韻を受け止めながら

お気に入りの棚の上から

誇らしげにこちらを見てるピリカの目の輝き

 

入れ違いで棚からぴっちゃんが

こちらへ飛んでくる時は

へりからふわりと身をなげだすように

翼も閉じたまま落下してゆく

そこから見えない空気の層にバウンドして

ようやく翼をひろげて

私の手に着地する

(下降から上昇に転じる

 レ点の突端にあるものは何なんだろう)

着地のとき時おり「ぷ」などど

声がもれて笑っては失礼な気がするけれど

笑わずにはいられない

笑ってるわたしをみあげるぴっちゃん

もぐりこんでお尻の位置をきめたら

もう目を閉じてる

下からあがるまぶたもやはり笑ってる