右手だけ妙に長い男は
売ってる服はどれも合わない
袖口からのびた長い腕で自転車こぐと
左にばかり曲がるので
ゴールに着く前にぐるり
スタート地点に戻ってしまう
リコーダーで楽しく歌いたいのに
右手と左手と唇の距離が
それぞればらばらすぎるから
口笛ふいてごまかした
規格外ってのは不便なものだ
右手だけ妙に長い男には
おじいちゃんがつけてくれた
りっぱな名前があるけど
「みぎてさん」ってよばれていた
自慢の形のいい耳を
セロハンテープでとめて
だれか「ぎょうざさん」て呼んでくれないか
うきうきしたけど
やっぱり「みぎてさん」だったから
もうそれでいい気がした
きみが傘を忘れたひどい雨降りに
さしていた左手を右手にもちかえて
男がきみに傘をさしかけてくれるだろう
長い腕のぶんだけ人より多く
濡れてしまうことなどいとわずに
黙ってさしかけてくれるだろう
そしたらきみは
男の名前をきいて
ぼくに教えてほしい
ぼくもきみの街で雨にぬれながら
彼を待ってみたいと思う
ピリカのクリッピングされた風切り羽
先端の方を相当かみかみしたのか
V字になっているところが気になります
新しく生えてくる分も
噛み癖で傷めてしまうのではないか...
見守って行こうと思います
ぼくもいっしょに見守るよ！
ぴっちゃん
